洗練した「おしゃれ」に込めた建築家の拘り|-トイレ-
意匠堂には「おしゃれ」な家を建てて欲しいというお客様が多く来られます。
ただ、一言で「おしゃれ」と言いましても様々ございます。
ここではお客様からこんな感じにして欲しいとリクエストの多い画像を
今回は「トイレについて」列挙してみたいと思います。
画像をクリックで詳細施工事例をご覧頂けます。
◆トイレ
ー たった数㎡に込める、美と静けさの設計論 ー
「おしゃれなトイレ」とは何か。
清潔であることは前提として、その先にあるのは“感性が呼吸する空間”。
光の入り方、素材の肌ざわり、音の響き方――。
ほんの数㎡の中に、建築の思想が凝縮される場所こそトイレだといえる。
日常に潜む「静けさ」を設計する
トイレは、住宅の中で最も小さく、そして最も個人的な空間である。
人がひとりで向き合い、自分のリズムを取り戻す場所。
建築家にとって、そこは“静けさを紡ぐための小さなアトリエ”のようなものだ。
壁や床の素材を選ぶときも、そこに触れる時間を想像する。
たとえば、光をやわらかく受け止める漆喰や、経年で深みを増す木材。
触れた瞬間に温度や質感が伝わる素材は、短い滞在の中でも心を落ち着かせる力を持つ。
おしゃれとは、視覚的な派手さではなく、感覚の奥に残る“静寂のデザイン”といえる。
光と陰影がつくる、詩的な時間
建築家が好むのは、人工照明よりも“陰影のある光”。
たとえば小窓から射す朝の光がタイルに反射し、やわらかなグラデーションを描く。
夜になれば間接照明が足元を照らし、わずかな光の筋が空間の立体感を際立たせる。
その一瞬の光の表情に、美を感じられるかどうか。
建築家は、そこに「おしゃれ」という言葉の本質を見ている。
派手な装飾を排し、自然光と陰影が織りなすリズムを尊重することで、
トイレは“時間がそっと溶け込む、穏やかな場所”へと変わっていく。
五感で感じるおしゃれ
音、香り、空気の流れ――これらもまた空間のデザイン要素だ。
静けさの中に、水音が心地よく響くか。
芳香剤ではなく、木や石材が放つ自然の香りがあるか。
小さな空間に五感が満たされる瞬間こそ至福のひと時をもたらす場だ。

明るくナチュラルに
グレージュの壁と木目のカウンターが落ち着いた温もりを演出し、
真鍮がアクセントに。床のタイルと間接照明がほどよい陰影を生み、
清潔感の中に心地よいぬくもりを感じさせ、
柔らかな光に包まれた、明るくナチュラルテイストデザイン

落ち着きのあるダーク系に
木の温もりとタイルの質感が調和した、落ち着きのあるダークトーンのトイレ。
柔らかな灯りが素材の深みを引き立て空間に静寂と重厚感をもたらし、
心を落ち着かせる洗練された大人の雰囲気デザイン
余白の美があるトイレへ
建築家が求めるおしゃれとは、最終的には“余白の美”に行き着く。
何も置かない勇気、静けさを受け入れる構え。
その潔さの中にこそ、暮らしの美学が息づく。
日常の中でたった数分過ごすだけの場所。
けれど、その数分を豊かに感じられるなら、家全体の空気も変わっていく。
建築家が考えるおしゃれなトイレとは、“心が整う空間”そのものなのだ。

和泉 尚志 代表取締役社長

