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建築デザインとは?|理想の空間・間取りを取入れるポイント

デザインといいましても意匠を表現するものから、パッシブデザインのように機能性を指すものまでさまざまです。ここでは空間・間取りについての見解や私見を述べさせていただきます。
我々のような一級建築士事務所では一軒一軒オリジナルの家を設計します。しかし、多くの住宅メーカーや大手工務店は「型式認定工法」を採用しており自由設計が容易ではないことをご理解いただいた上で以下をご覧いただけたらと思います。
 
 

先ず、はじめに

我々はクライアントの要望ニーズの聞き取りから始めます。
昨今では以下のご意見が多いように感じます。
1. チャイルドシートの脱着など考え雨の日でも濡れずに玄関まで行きたい ➜ ビルトインガレージ
2. 大きい開口部(窓)がほしいがカーテン無しでもプライバシーを確保したい ➜ 中庭のある家・コートハウス
3. 共働きなので夜に洗濯機を回すことが多いので夜でも洗濯物が乾かせる室内物干がほしい ➜ 生乾き臭対策
4. 掃除優先なのでロボット掃除機が稼働しやすいようにしたい ➜ バリアフリー&ロボット掃除機発着場所
5. 中二階やロフトといった段差を利用して空間に奥行きや面白さがほしい
6. 広い家を建てたいが・・・コストは抑えたい
 
 

1. ビルドインガレージ

ビルトインガレージ

昔のビルトインガレージといえばご主人が趣味の車を眺めながら生活したいなどのケースが多かったのですが、今では奥様側からのニーズが増えています。エクステリア工事で既製品のカーポートを設置するのではなく建築物として一体で建ててしまうことで見栄えの良い完全に濡れない空間を望む傾向にあります。価格との相談にはなりますが、既製品のカーポートでも良いものとなれば安くはありません。

2. 中庭のある家・コートハウス

中庭のある家・コートハウスのLDK

建売住宅などでリビングに大きな窓が有るのだけれど、近隣や通行人に見られてしまうのでカーテンを閉めっぱなしにしている住宅をよく見かけます。そうなると日当たりも悪く健康にもよくありません。
そこで我々が提案したいのが中庭を囲う家(コートハウス)です。充分に陽が入る中庭を間取り動線で囲うことでカーテン無しでプライバシーを担保することができます。明るく健康的な生活には必須のプランニングだと考えています。
 

3. 生乾き臭対策

住宅ランドリールーム室内物干しデザイン

ただ単に室内物干しスペースを用意しただけでは、生乾き臭などの諸問題が解決できません。従来の洗濯動線は洗濯して→外もしくはバルコニーまで干しに行く→取り込んで畳んで各部屋のクローゼットまで片づけに行くという時間のかかるものでした。しかも外に干せばPM2.5や花粉、その他の有害物質に晒されることになります。
我々の考える室内物干は洗濯して→干して→片づけるという一直線の動線で、尚且つ生乾き臭カットという理想的なプランニングです。これは間取り動線のみプランすればよいものではありません。
水回り動線をつなげるとせっかく乾いた衣類がカビてしまうリスクを伴います。そのためには空調を整えなければ絵に描いた餅になってしまうのです。ちなみに我々の注文住宅では全館空調補助システムや空気の流れ、臭いの元になるカビ対策まで緻密に計算して水回り動線を提案しておりますので安心です。
 

4. バリアフリー&ロボット掃除機発着場所

バリアフリーは簡単ですが、リビングに隣接した畳スペース等までフラットにしてしまうと埃の多いごろごろしにくい空間になってしまいます。これは床材の摩擦係数も関係してきますの、打ち合わせの上、納得してからどちらにするか考えましょう。ロボット掃除機の対策としては、バリアフリーにするだけでは不充分です。ダイニングテーブルの脚や障害物となりうるものを極力減らすことも大切でしょう。見栄えの観点からその発着場もきちんとプランニングの段階で考えなければなりません。
 

5. 空間に奥行きや面白さを

階段の踊り場を活用したワークスペース

これは贅沢品になる場合もあればローコスト住宅への近道となる場合があります。
具体的には子供部屋で4.5帖に1帖の収納を付けると合計5.5帖になります。ここを立体的に考え、下は収納、上を居住スペースとすれば4.5帖で収まり面積を節約できます。(法令に従って平均天井高や換気量に従ったプランが必要)
リビングにロフトが欲しいという場合、これは往々にして価格の上昇につながります。空いた空間を有効に使いたいという気持ちは理解できますが意外とコストがかかるので設計段階でよくよく相談することをお勧めします。
また、狭小地に理想の間取りを詰め込みたい場合にはスキップフロアーをお勧めします。首都圏ではよく採用されますが、これは狭い土地しか無いといった場合に限られます。実家のとなりの余っている土地に建てるとか、その土地以外考えられない場合のみです。これは構造も特殊になり建物自体の価格が皆様の想像より高くなってしまうからです。それだけコストをかけるなら他の広い土地を購入した方がローコストになるケースが多くなります。このような場合は建築家や工務店とよくよく相談することをお勧めいたします。
 

6. 広い家を建てたいが・・・コストは抑えたい

平屋コートハウスのLDK

この場合、クライアントの考え方を理解した上で我々は実寸の広さより感覚や見た目での広さを追求します。これは、昨今の懐事情も関係しており、価格的な問題で広い住宅を建築できないというケースが多いという現実からも非常に重要なテーマとして取り組んでいます。
人間の感覚というものは意外と不正確で、同じ広さのリビングでも開口部(窓)や仕切りが少ないリビングは広く感じ、中庭が面していて床の素材をあわせるなどの工夫をすればもっと広く感じます。これらを窓の少ないリビングと比較したらどうでしょう?
住宅の価格は広さを抑えれば安易に価格がさがります。例えば30帖のリビングがほしいというクライアントがいたとしましょう。この方はなぜ30帖ほしいと希望されたのでしょうか?我々はここで深堀りしていきます。見た目や感覚が広いほうが良いのか、家具や設置物の観点からその広さが必要なのか、詳しくお伺いしていきます。数字だけで広さを決めつけるのではなく30帖に感じるリビングでよいとなれば価格が抑えられるでしょう。
 
 

ここまでご覧いただいたニーズ、いかがでしたでしょうか?
これら以外にも様々な希望や理想があるように現代のニーズは多様化しております。
 
私が幼少の頃はどのお家にお邪魔しても同じような間取りばかりでした。これは周りの目を気にする風潮や社会通念、情報不足、生活様式など様々な要因から合理性や利便性を追求しにくい時代背景があったと思われます。
現代社会では親の口出しも少なく(援助も減りましたが汗)夫婦がお互いの意見を出し合い自由な発想で家を作れる風潮が整ってきたことから、自由設計の時代と言えるでしょう。
ただ、それを提供する多くの住宅メーカーは未だに同じような普通の間取りを提供しているのが現実で、これには理由があるのをご存じでしょうか?
住宅を建てるためには各種の法律を遵守する必要があります。建築する前段階で役所や関連機関に対して建築確認申請という手続きが必要になります。どのような家をどこに建て、建ぺい率や容積率、用途など法律に照らし合わせる必要があるためです。
我々のような一級建築士事務所は一軒一軒その建築確認申請を提出するので様々なプランがあって問題ないのですが、大手の住宅メーカーは住宅供給戸数も多いため各戸を個別で申請しているゆとりがありません。
よって決められた工法・間取りを事前に申請しておく「型式認定工法」を採用しています。
全てが「型式認定」の家とは限りませんが似たような間取りが多いのはこれが原因です。
正式には、建築基準法で言うところの「第68条の10の条文」にあたり「型式適合認定」と言いますが、型式認定工法には、家を建てる方にとってメリットもあればデメリットもあります。
ただ、実際の型式認定工法はハウスメーカーよりの法律となってしまっているため、どちらかといえば、家を建てる方にとってデメリットの方が際立つことが多いように思われます。
今回の記事ではできるだけ中立的な立場でお話したいので、型式認定工法を採用している住宅会社で建てる場合は、契約前にぜひ一度読んで頂き、メリット・デメリットを十分に承知した上で依頼すると良いと思います。
そうでないと、あとあとの増改築の際に面倒なことになったり、リフォームやリノベーションを行う際の費用が高く見積もられたり、挙句の果てには増改築ができないといったデメリットが生じることも実際にありうるので、将来的なライフプランを含め十分に検討してから依頼するのがいいと思います。
 
では我々のような設計会社なら好き勝手なプランニングができるか・・・厳密に言えば自由度は高いが耐震等級のしばりや断熱性能、各種性能値、気密性能を加味しながらの設計になるので完全自由ではないということだけはご理解いただければと思います。
 
 

結果、現代の新しいライフスタイルにあわせた独自の空間を作り出すには・・・・・

① 各戸にそれぞれの建築確認申請を提出する会社なのか、型式認定を採用している会社なのか調べること。
② プランニングを複数しかも時間をかけてオリジナルの提案をしてくれる会社なのか
③ そのプランニングはどのようなソフトで提案しているのか?(3Dソフトが分かりやすい)
④ 担当者にセンスがあるのか?実績は充分か?
⑤ ニーズの聞き取り能力があるか?理解して表現するスキルがあるか?
 
などなど要は・・・住宅会社のセレクト及び担当者選びが重要となってきます。